児童精神科医NINAの休憩室

m3のblogからお引っ越ししました。児童精神科医NINAのblogです。 今は児童も成人も診させていただいている,地方の勤務医です。 日々思ったことを自由に書き留めてみようと思います。 コメント大歓迎! ですが,レスが遅れることがあります。どうぞご了承ください。

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【発達障害のこと】発達障害が疑われるケースの育児支援。

育児支援の話の続きです。


「みんな育児って苦労するけど,お母さん,上手にやってるじゃない」って言われて,それだけで安心して育児をがんばれるお母さんもいるけれど,そうはいかないお母さんもいる…,

たとえば,こどもさんに発達障害がある場合。

お母さんが上手に関わろうとしても,こどもさんはうまく応えてくれない。


支援者からみてこどもさんの発達上の問題が明らかなときは,それをお母さんに伝えてあげることができますよね。

「お母さんは十分上手に関わろうとしておられますよ。でも,こどもさんがそれをうまく受け取れないみたい…お母さんのせいじゃないですよ」って。

もちろんこどもさんの障害を受け止めることは簡単ではないと思うけれど,その部分にも支援者がしっかり時間を掛けて関わらせていただくこともできるでしょう。診断確定やアセスメントを受ける段取りやこどもさんに必要な福祉サービスやそのこどもさんに合った関わりかたなど,支援者が把握している大切な情報をお母さんにお伝えすることもできるはずです。


そして,支援者からみてこどもさんの発達上の難しさがわかりにくいとき。

こういうケースのほうがじつは育児支援は難しいのかもしれない,と最近思うようになりました。

まず,支援者が「ひょっとしてこの子は…?」という疑問を抱けるだけの知識をもって,アンテナをしっかり張り巡らしていないといけない。

そこで「ひょっとして…?」と感じても,それを「○○という診断がつく可能性がありますよ」とお母さんにお伝えできるほどの根拠はまだ十分得られていないはずで,じゃあどんなふうに伝えたらいいのか,という問題が発生します。

その伝えかたによって,支援者がせっかく気付いた何かをお母さんとこどもさんの関係のなかにうまく活かせないまま,こどもさんが成長していってしまうということにもなりかねないですよね。


たとえば今臨床をしていて,成人したこどもさん(就労できないなどの不適応状態あり)を連れたお母さんが診察室にいらっしゃることがあります。

お母さんから生育歴をお聞きしているとき,「お兄ちゃんに比べてことばの発達が遅いなとは確かに思ってたんです。3歳過ぎてやっと単語が出始めて。でも3歳児健診では『大丈夫,そのくらいの遅れはよくあるから心配ないですよ』って言われて,あぁそうなんだ,って思ってました」と言われると,こころの中では「当時もう少し丁寧にフォローアップしてあげることができたらこの子の育ちかたは違っていたのかも…」なんてついつい思ってしまいます。

支援者はお母さんを元気づけようとしただけかもしれないけれど,その「大丈夫」のひとことが,ひょっとしたらそのこどもさんにとって必要だったかもしれない支援からこどもさんを遠ざけてしまうことにもなりかねない。

育児支援をする者が判断に迷ったときにどうすればいいのか…そのあたりが私の講演のなかで力を入れてお話ししたいテーマのひとつになりそうです。

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*Comment

NoTitle

NINA先生おはようございます。

精神保健福祉センターの先生も、
二次障害でかかっている病院の先生も
「発達障害は、なるべく早期に発見し、なるべく早期に対応することが有効です」とおっしゃっておられました。

そうだからこそ、最近になって5歳児の健診が実施されるようになったのだとおもいます。

ですが、NINA先生も書いておられますが、大切なのは、障害を見つけることだけではなくて、発達障害と診断された後に当事者や周囲の人々をいかに適切にフォローし見守ってゆく体制を作るかということにあるんだと私は理解しています。

実は私が一番傷ついたのは「発達障害の当事者は社会に適合できない潜在的犯罪分子」といった社会の偏見でした。

私の仲間も、こういった偏見にさらされていて、
自分が発達障害だということを恥じている、
そういう方も大勢いらっしゃいます。

私も、同じ人間として扱ってくれない、それが一番つらいです。

まずは、発達障害に関する正しい情報を国民に知らせる
べきではないでしょうか?

社会は「相手がよくわからない」ということで、おそれを抱いている点が大きいとおもいますので。
  • posted by 北の休学生
  • URL
  • 2009.07/17 09:33分
  • [Edit]

NoTitle

コメントありがとうございます。

発達障害に対して早くから介入したほうが効果的なことが多いのかもしれませんが,私自身は「早ければ早いほどよい」とは考えていないところもあります。早く見つけたから「治せる」という類のものではないですし,でも早く特性が明らかになることで傷つきや二次障害の発症はある程度押さえやすくなるかもしれないとも思います。

周りのひとにもっともっと広く知ってほしいと私も思っているのですが,余計な偏見や先入観が生まれてしまうのも怖くて,なかなか思うように動けていなかったりします。
  • posted by NINA
  • URL
  • 2009.07/18 00:29分
  • [Edit]

NoTitle

 はじめてコメントします。

 発達障害の子を持つ父です。

 わが子の障害を知って、一番感じたことは、発達障害は、自分から知ろうとしないと知ることができない世界だということでした。
 子供が通っていた保育園でも、保育師の方々は以前から子供の様子(障害があるのではないかとう疑い)が気になっていたようでしたが、「親に言えない」ということでした。
 このことを知ったとき「なぜ、そういうことを勉強しているであろう人たちは何も支援しないのだろうか、教えてくれなかったのだろうか」と強い疑念を抱いてしまいました。
 そこには、無理解と無知とが壁を造っていて、情報を遮断している世界ということを強く認識しました。

 わが子の障害を知って、それを周囲の人々に伝えることによって情報が入ってくるようになりました。
 これにより、自分が持っていた偏見や無知から開放され、わが子をどう育てていけば良いのかという道標が見えるようになってきました。

 まずは多くの人々に知っていただくというのが大事だと思います。そして、NINAさんの考えるとおり育児支援者が十分な知識と対応の必要性を知っておくべきだと考えます。
  • posted by 子育てお父さん1970
  • URL
  • 2009.07/18 14:51分
  • [Edit]

コメントありがとうございます。

子育てお父さんさま,コメントありがとうございます。

わが子が発達障害だと知ったときの衝撃,とても大きかったこととお察し致します。そしてきっと今も毎日いろいろなご苦労がおありなはず…がんばっていらっしゃるお父さん,尊敬します!

発達障害それ自体は病気ではないけれど,医学的診断名がつくことなので,医師以外のひと(たとえ保育士さんのようにこどもさんのことに詳しいひとであっても!)が親御さんに診断としてお伝えすることはできないのだろうと思います。診断の可能性を疑いながら,こどもさんの特性に合っていると思われる関わりをきっと試みてくださっているのでしょうけど…。

お父さんのように「早く知らせてくれれば」と言ってくださる親御さんもあれば,なかなか診断やその可能性を受け止める用意が整わない親御さんもいらっしゃいます。親御さんにそこから先こどもさんと上手に関わっていただけるように,診断をお伝えするタイミングには細心の注意を払いたいと私は考えています。

診断として伝えるかどうかは別としても,発達障害の可能性をキャッチするだけの知識,そして実際に支援を行う技術をこどもたちに携わるすべての「プロ」たちがもっておくことは本当に大切なことですよね。

それが特殊なことではなくてあたりまえのこととして浸透するようになれば,偏見も軽減されていくのではないかな,と思っています。

どうかこれからも,がんばりすぎないようにがんばってください。またこちらのblogにも遊びにいらしてくださいね。
  • posted by NINA
  • URL
  • 2009.07/18 23:35分
  • [Edit]

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Author:NINA
地元のこどもたちの元気な育ちを,ご家族と一緒に応援させていただきたいと思いながら,日々診療に取り組んでいます。
家に帰れば一児の母。「楽しい子育て」を目標に奮闘中です。
趣味は音楽と写真。ピアノを弾きながらこどもと童謡を歌ったり,デジタル一眼レフを携えてお散歩したりするのが私のリラックスタイムです。

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