児童精神科医NINAの休憩室

m3のblogからお引っ越ししました。児童精神科医NINAのblogです。 今は児童も成人も診させていただいている,地方の勤務医です。 日々思ったことを自由に書き留めてみようと思います。 コメント大歓迎! ですが,レスが遅れることがあります。どうぞご了承ください。

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【がんばっているキミへ】 治療方針を左右する大事な情報が…


本日のつぶやき。


治療方針を左右する大事な情報が隠されているのはもったいない。
患者さんにとって役立つ情報はできることならみんなで共有したいのです。


。o○o。+。o○o。+。o○o。+。o○o。+。o○o。+。o○o。+。o○o。+



さて,昨日の続き。

電話をくださったお母さん,私にこんなことをおっしゃいました。

「先生には意外かもしれませんが…あの子,診察日の夜になって『お母さん,私って働いていいの?』って聞いてきたんです」

・・・えっ? なんだか意味がうまくつかめないのですが。

「じつは以前,あの子がこういう状態になってからひとりで精神科を受診したことがあったんです。そのときのことは家で私にもほとんど話してくれなくて,それから通っている様子もなかったんですが,このたび初めて詳しく教えてくれて…」

・・・はい。

「その先生,あの子に『あなたは発達障害だと思います。あなたの状態は改善しないし,就労は一生無理でしょうね』って言ったんだそうです。その言葉を信じて落ち込んでいたようで…。それが先日,NINA先生に『仕事のことどう考えてる?』『焦らなくてもいいけど…』と言われて,自分には働ける可能性があるんだと先生がおっしゃったように感じて,驚いたんでしょうね。それでわざわざ私に確認を…」


お母さんとお電話中であることを忘れるくらい腹が立ってきた私。

だって,初診で本人だけに会って,その場で発達障害だなんて診断出してみたり「就労は一生無理」って決めつけたり。

そんないい加減な診療があっていいのか? あってたまるか!・・・


「先生,聞こえてますか? それで私,娘に『今度先生のところに行ったとき,この話をしてみようよ。それで,本当に働いてもいいのか,就労できそうなのか,ってNINA先生に聞いてみよう』って伝えたんですけど,それはイヤだって…」

・・・何で?

「NINA先生よりも◇◇先生のほうがご年配だから,こんなことをお伝えしたら◇◇先生のおっしゃったことにNINA先生が従っちゃうんじゃないか,って」

・・・なるほど。彼女はそういう気持ちだったのね。


そこで,「どうしても内緒で伝えておきたかった」とわざわざお電話くださったお母さんに,「彼女とのやりとりを教えてくださったことで何故彼女が仕事の話題になって表情を曇らせたのかとても納得できました」と感謝の気持ちをお伝えして,私からはこんなご提案をしました。


今日お母さんからお電話をいただいたことは,彼女には伝えないでおきましょう。

それで,◇◇先生とのお話のことは私は知らなかったことにして,これからの診察のなかで彼女の得意なことを確かめたり,働くときに苦手として露呈しやすそうなことも確認してそれを補う方法を考えたりしていきましょう。

少なくとも前回,彼女は私から「働ける」と言われたと感じてくれたようだし,◇◇先生のことを敢えて掘り返さなくても,引き続きさりげなく「就労できると思う」という私の判断を伝えていけばよさそうだと思うから。


*          *          *



そんな彼女はやがて元気を取り戻してレストランで働き始め,お仕事が軌道に乗ったところで診察も終結となりました。



*          *          *



患者さん本人に内緒でご家族や学校や職場とやりとりすることには,いろいろな難しさがつきまとうもの。

内緒のやりとりが患者さんにとって不利益になるようなことなら,そんなことしないほうがいいに決まっています。

でも,ちょっとした思い込みやお互いの遠慮や必要以上の気遣いなんかで,本当に大事な情報が長いあいだ伏せられてしまっていたり,診療の方向性がずれてしまったりするのは本当にもったいないこと。みんなにとって貴重な時間や労力を無駄に費やしてしまうことになりかねません。

だから私は,これからも患者さんの回復に役立つような情報はご家族とも,学校とも,職場とも積極的に交わせるようにしていきたいと思っています。

それをできるだけ「内緒」でやらずに済むように,「診察室以外の場でも連絡取り合ってもいいですか?」と事前に承諾を得たいのです。

そして,承諾していただくためには,患者さんにとって私が「自分の知らないところで関係者と連絡を取り合っても心配ない」と患者さんに信じていただける存在になることが必要…。

そのための努力は惜しまないで今後も診療にあたっていこうと思います。



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*Comment

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私のコメントに応じたエントリー、ありがとうございます。

患者の周囲にいる人が患者の支援者であるかどうかを見抜くのは至難の技だと思います。
医師の前では「善良な支援者」を演じ、診察室を出ると・・・という人もいます。
どの情報を周囲の人に伝えるべきかも難しいです。
「努力しても残念ながらできない」という情報を他者に伝えると、当事者は無駄な努力の強制からは解放されますが同時に「無能」扱いされたりします。

内科を受診した際の問診票に「重大な疾患が見つかった場合に誰に知らせるか」を問う項目がありました。
何か問題が起こる前にこうした手段を講じるべきと考えます。

立ち入ったことですが、エントリーのケースについては電話でのやり取りがあったことを患者に話せば、今後患者は「NINAさんになら話そう」と考えやすいのでは・・・と思います。
内緒で電話をしたことについては患者は不満を感じるかもしれませんが、現実を知らずにいるというのは私ならいただけません。
言わないままだと似たようなこと(患者が重要な情報を隠す)が繰り返される恐れがあります。
そもそも情報を医師に隠さずにすむ関係が築ければよいのですが・・・。

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Author:NINA
地元のこどもたちの元気な育ちを,ご家族と一緒に応援させていただきたいと思いながら,日々診療に取り組んでいます。
家に帰れば一児の母。「楽しい子育て」を目標に奮闘中です。
趣味は音楽と写真。ピアノを弾きながらこどもと童謡を歌ったり,デジタル一眼レフを携えてお散歩したりするのが私のリラックスタイムです。

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