児童精神科医NINAの休憩室

m3のblogからお引っ越ししました。児童精神科医NINAのblogです。 今は児童も成人も診させていただいている,地方の勤務医です。 日々思ったことを自由に書き留めてみようと思います。 コメント大歓迎! ですが,レスが遅れることがあります。どうぞご了承ください。

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【学校生活】高校の先生からのご質問。

ふと思い出したのですが,以前ある地域で高校の先生向けの研修会でお話しをさせていただいたとき,ご質問いただいたことがありました。


「高校教諭として生徒に関われるのは3年間という限定した期間だけなのですが,どんなことに気をつけて関わったらいいのでしょう?」と。


そのご質問が出たときはそれまでの話の流れというのがあったので,それに沿ったかたちでお返事したと思うのですが…これと同じことを聞かれたとしたら,今ならこうお答えしたいと思います。


「こどもの自尊心を高めるように,少なくとも今より下げることのないように関わってあげてください」と。


地域によっても校長の方針によっても変わってくることなのかもしれないけれど,患者さんから担任や教科担当の先生のお話をお聞きしていると,なんだか妙なところ(だと私には思えるのですが…)でシビアな先生がいらっしゃるもの。

具体的なことは書けないのですが,「これこれこういうかたちでないと,その課題をクリアしたとは認めない」みたいな厳格な条件を生徒に突きつけてみたりする先生,結構いらっしゃるようです。私立ならある程度仕方がないのかなと思わなくもないけれど,公立の先生方でもそんなことがあって。診察室に通ってくださっていることをお伝えしていても,診断書で特別な配慮をお願いしていても,です。


患者さんやご家族の了承をとって先生と直接お話させていただくと,

「あの子だけ特別,というわけにはいきませんから」
「社会に出たらもっと厳しいんですから,今からきちんと押さえるところは押さえないと…」

なんてお答えが返ってきたりします。


そりゃ,厳しく言いさえすればそのとおりにできるこどもたちなら,いくらでも(いや,「いくらでも」は言い過ぎかな…)厳しく指導すればいい,と思わなくもありません。

でも,特に自閉症スペクトラム特性をもつこどもたちを見ていると,先生が期待しているようなかたちできちんとやりたいと強く願っているにもかかわらずどうしてもそれができなくて苦しんでいる子が多いように思えるのです。

その子なりに精いっぱいがんばって,なのに学期末になって「ハイ,それじゃダメ?」って言われて,結果赤点になったり留年になったり…追い詰められていろいろな症状を出しているこどもたちをみると本当に切なくなってきます。


たしかに,社会に出たらもっと厳しい現実が待ち受けているかもしれない。

でも,高校生活のなかで社会に出てがんばるために必要な原動力を奪い取ってしまっていいとはどうしても思えないのです。


ある高校生の患者さんのお母さんが診察室でこうおっしゃいました。

「卒業後の進路はどうしますか? なんて面談で担任から聞かれても,差し当たって進級できるかどうかもわからないのにどう答えたらいいというんでしょうね…とてもそんなことを考える余裕なんてないんです」と。


高校時代は義務教育ではないにしてもまだまだ「半人前」なこどもたちを育むべき時期。

その子なりの課題を設定してあげて,「自分はここまでやれたぞ!」っていう実感をもたせることをもっともっと意識していただけたら嬉しいな,と思うのです。その自身や自尊心が,そこから先の困難に取り組む上でとても大切なのですから。


高校生活を送るなかでそのこどもさんの自尊心がズタズタになって社会に出られなくなったとして,高校の先生がその子の人生の責任を取ってあげられるわけではありませんよね。もちろんその覚悟があるのなら話は別ですが,そうでないのなら,その子自身が本来もっている力を先生個人の思いで削いでしまうのはあまりにも酷じゃないかな,と思います。


「3年間の期間限定」の関わりのなかで先生方が「十分にできない」と感じられることがあるのは仕方のないこと。

だけど,「期間限定」だからこそ絶対にしてはいけないこと,してほしくないこともあります。


もちろん,やればできる部分は伸ばしてあげてほしい。
でもそれだって,比較的楽にできるところからステップを踏むという手順は必須なはず。


こどもたちの未来に本当に必要なことを身につけられるように…そんなことを先生方に意識していただけたらいいな,と思っています。

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Author:NINA
地元のこどもたちの元気な育ちを,ご家族と一緒に応援させていただきたいと思いながら,日々診療に取り組んでいます。
家に帰れば一児の母。「楽しい子育て」を目標に奮闘中です。
趣味は音楽と写真。ピアノを弾きながらこどもと童謡を歌ったり,デジタル一眼レフを携えてお散歩したりするのが私のリラックスタイムです。

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